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CV.石川英郎 音楽教師 声楽専攻 誕生日:3月1日 星 座:魚座 血液型:A型 身長:183cm 登校時間: 7 00…◎ 7 30…△ 8 00…× 好みの衣装: 純白のドレス プレゼント: ラングドシャ(160BP) 革の手袋(160BP) ソムリエナイフ(160BP) クリスマスコンサート当日の居場所: 音楽科棟 恋愛イベント 第一段階 第二段階 第三段階 第四段階 その他 第一段階 ・煙草はやめたほうがいい(スチルあり) 親密度 発生時間 下校 発生場所 校門(自動発生) その他 前段階イベント(在校生のひとこと依頼)を受けておく? 吉羅からの誘いを断ると攻略不可になる 第二段階 ・声の出ない原因 親密度 発生時間 放課後 発生場所 正門前/音楽室/エントランス/屋上/森の広場のいずれか その他 相談をもちかけないと攻略不可になる 第三段階 ・歌いたい心 親密度 500以上?(要検証) 発生時間 11月11日の午後 発生場所 廊下→屋上→応接室(自動発生) その他 吉羅と出会った際に金澤について質問する 「ジュ・トゥ・ヴ」→「話を聞く」→「追いかける」→「金澤について」 第四段階 ・輝く冬の夜 親密度 880以上 発生時間 12月1日以降の下校時 発生場所 校門前(自動発生) その他 ■平日イベント(声なし) ハナの婿おれの嫁(森の広場) ヨーロッパには野球がない(音楽室/屋上) 卒業後は受付中(屋上) ■休日イベント 出現は日曜日のみ(土曜日夜のセーブをひたすらロード) 一人練習後に出現(練習後の空がまだ青いとき) 恋愛段階によって場所と会話が変化 ○第一段階後:がんばってるからおごる(臨海公園) ・焼肉以外の選択肢ならOK ○第二段階後:学校に何の用事?(駅前通り) ・猫と遊びに→親密度2UP ・テストの採点をしに→親密度5UP ・忘れ物を取りに→親密度10UP ・会話終盤に吉羅が出現する場合もある ○第三段階後:演奏を聞かせてくれ(臨海公園) ・理由を聞く→親密度10UP ・かまわない→親密度5UP ・いやだ→親密度変化なし ・会話終盤に吉羅が出現する場合もある ○第四段階後:メシ食いに行こう(駅前通り) ※二度目以降公園は会話が変化 ・行く→親密度5UP ・行かない→そのまま帰宅 ・照れる→親密度10UP ・食事後に吉羅が出現する場合もある(出現した場合以下の寄り道はキャンセル) ・寄り道がなくまっすぐ家に帰るパターンもある 【一度目】 (公園に寄ってもいいか) ・承知する→会話続行。 ・断る→家まで送ってもらい終了 (小さい頃遊んだか) ・会話は違うがどちらの選択肢でもOK 【二度目】 (また公園に寄るか) ・寄っていく→会話続行 ・寄っていかない→家まで送ってもらい終了 (沈黙に) ・会話頭のみ違うがどちらの選択肢でもOK ■登校時会話 ※早い時間(7 00)に登校すると出現率高 (交差点) 早起きは三文の得 教師じゃなければまだ寝ている 精神を癒す集会 最近の調子を聞かせて ■昼休み会話 ※一人でいるときに会いに行くと親密度(5~10)UPすることも (連続会話) 白衣がにおうシリーズ(+月森):音楽室 ■他キャラから聞く恋愛時状態 「猫に相談してた」(冬海) 「彼女ができた噂」(天羽)
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2ff No. タイトル 条件 1 在りし日の約束 2 転入生 3 考えるべきこと 4 この先に待っているもの 5 雀とお昼 6 朝の名物 7 この秋、僕らを待つもの 8 アンサンブルへのお誘い 9 遅刻遅刻 10 月森の勧誘 11 土浦の勧誘 12 志水の勧誘 13 火原の勧誘 14 柚木の勧誘 15 加地の勧誘 16 月森との出会い 17 土浦との出会い 18 志水との出会い 19 火原との出会い 20 柚木との出会い 21 加地との出会い 22 金澤との出会い 23 待ち合わせ 24 吉羅という男 25 和解と調和の音楽 26 後夜祭のワルツ(月森) 27 後夜祭のワルツ(土浦) 28 後夜祭のワルツ(志水) 29 後夜祭のワルツ(火原) 30 後夜祭のワルツ(柚木) 31 後夜祭のワルツ(加地) 32 後夜祭のワルツ(冬海) 33 クリスマスコンサート 34 幕間(月森) 35 幕間(土浦) 36 幕間(志水) 37 幕間(火原) 38 幕間(柚木) 39 幕間(加地) 40 幕間(冬海) 41 幕間(金澤) 42 幕間(王崎) 43 アンコール(月森) 44 アンコール(土浦) 45 アンコール(志水) 46 アンコール(火原) 47 アンコール(柚木) 48 アンコール(加地) 49 アンコール(冬海) 50 アンコール(金澤) 51 アンコール(王崎) 52 いつか伝説に 53 今すべきことは 54 もう一枚の手紙 55 音楽を愛する心 56 体育祭前日 57 体育祭 58 王崎のバースデー 59 11月3日は… 60 冬海のバースデー 61 11月12日は… 62 加地のバースデー 63 後夜祭の伝統 64 気になる相手 65 文化祭 66 文化祭(バンド) 67 響き渡る音 68 人気の秘密 69 いろいろな音 70 共に創る笑顔 71 見えないこと 72 遠い声、近い鼓動 73 風情ある文化祭 74 12月12日は… 75 火原のバースデー 76 試験にむけて 77 勉強会 78 定期試験初日 79 定期試験2日目 80 クリスマスイブ 81 コンサートに行きましょう 82 3人で? 83 目に見えぬ思い 84 イブ前日 85 イブ前日(月森) 86 イブ前日(土浦) 87 イブ前日(志水) 88 イブ前日(火原) 89 イブ前日(柚木) 90 イブ前日(加地) 91 イブ前日(冬海) 92 イブ前日(金澤)
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CV.増田ゆき 普通科 2年1組 誕生日:2月9日 星 座:水瓶座 血液型:B型 身長:165cm 友情EDはないが、親密度を上げる選択肢を選んだり演奏を聴かせるようにすると コンサートに生徒を呼び込んでくれる。動員数確保に便利。 天羽の親密度で増える予定観客動員数。 親密度400までは親密度が8上がるごとに観客動員数が1人増える 親密度400からは親密度が20増えるごとに観客動員数が1人増える つまり前者の親密度までは親密度が8、16、24、32・・・ごとに1人観客が増え、 後者の親密度からは親密度が420、440、460、480・・・ごとに1人観客が増える。 天羽の親密度を1000まで上げると観客は80人増えることになる。
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CV.小西克幸 大学3年生 ヴァイオリン専攻 誕生日:10月17日 星 座:天秤座 血液型:O型 身長:175cm イベント中に貰えるプレゼント: クリスタル製雪だるま(ED) 電話orメール?:電話の選択肢がある場合は必ず電話を選ぶ。 お土産を頼んではいけない。 コンサートで一定以上(A評価)の評価が必要。 10/31のメールを受信すると500BP貰える スチルは3枚有り。メール中2枚・ED1枚 11/12 報告です! 11/13 優勝記念パーティーの後に ED 恋愛イベント 第一コンサート準備期間 第二コンサート準備期間 第三コンサート準備期間 最終コンサート準備期間 第一コンサート準備期間 メールなし 第二コンサート準備期間 全てメールタイトルを表記 10/10 パリの空港にて 10/14 音楽の都から 10/24 コンクールだけど 10/26 経過報告 第三コンサート準備期間 全てメールタイトルを表記 10/31 コンサートお疲れさま! 11/01 ありがとうね 11/09 ファイナル1日目終了 11/12 報告です!(スチル) 11/13 優勝記念パーティーの後に(スチル) 11/18 街角のカフェハウスで 最終コンサート準備期間 全てメールタイトルを表記 12/02 世界のどこでも 12/09 雪の日に 12/12 もうすぐクリスマス 12/22 ウィーンの日々 12/23 今日ウィーンを発ちます
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CV.日野聡 他校の生徒 誕生日:3月30日 星座:牡羊座 血液型:B型 身長:176cm 恋愛イベント 恋愛段階1 恋愛段階2 恋愛段階3 恋愛段階4 段階更新に必須ではない特別イベント 休日デートイベント 恋愛段階1 出会いイベント『残念な演奏』 発生期間:10月5日~17日 発生時間:放課後 発生場所:練習室 発生条件:初期楽譜を手に入れている、練習室に主要キャラがいない 「にらむ」→好感度大up 「練習を続ける」→好感度中up 段階更新イベント『街での再会』 発生期間:第2ステージ以降 発生時間:休日一人練習後 発生条件:出会いイベントを見ている、休日に一人で練習をする 承知する→追いかける 特別イベント1『加地からの情報』 発生期間:第2ステージ 発生時間:午前 発生条件:予約下校相手がいない、『街での再会』イベントを見ている 特別イベント2『偶然も三度あれば』 発生期間:第2ステージ 発生時間:『加地からの情報』を見た当日の帰宅時 発生条件:『加地からの情報』を見ている コンサートの話をする 上手くなるため→好感度大up 楽しいから→好感度中up 休日イベント0『衛藤の誘い』 発生期間:10月11日~10月19日 発生条件:休日一人練習後 発生条件:『偶然も三度あれば』を見ている、休日である 約束したから~→好感度大up ちゃんと来た~→好感度中up 本当は来るか~→好感度小up 恋愛段階2 段階更新イベント2『練習を見てもらう』 発生期間:第2ステージ 発生時間:下校 発生条件:『衛藤との休日』で再会の約束をしている、水曜日である 海岸通りへ行く 特別イベント3『勝つための音楽』 発生期間:第2ステージ 発生時間:休日一人練習後 発生条件:『練習を見てもらう』を見ている、休日である 行く→港さん橋に行く 帰らない 好感度小up 特別イベント4『創立記念祭に』 発生期間:10月28日 発生時間:第2回コンサート当日 発生条件:『勝つための音楽』を見ている、コンサートの評価がA以上 恋愛段階3 段階更新イベント3『波紋』 発生期間:第3ステージ 発生時間:休日一人練習後 発生条件:休日である、『創立記念祭に』を見ている 海岸通りに寄る→引き止める この後の三択はどれを選んでも好感度大up 特別イベント6『賛辞』 発生期間:第3ステージ 発生時間:第3回コンサート当日 発生条件:『波紋』を見ている、コンサートの評価がA以上 楽しかったor緊張した→好感度大up 承知する 恋愛段階4 段階更新予約イベント4『出会わなければ』 発生期間:第4ステージ 発生時間:下校 発生条件:『賛辞』を見ている 海岸通りに寄る 三択はどれでもOK 賞状を拾う 段階更新イベント4『嘘ついた』 発生期間:12月1日以降 発生時間:下校 発生条件:『出会わなければ』を見ている このイベントの最後にデートの約束をすると特別イベント7『染まり行く想い』発生 段階更新に必須ではない特別イベント 特別イベント5『頑張ってるから』 発生期間:第3ステージ 発生時間:休日一人練習後 発生条件:土曜日である、恋愛段階が3である 遊びに誘う 肯定する→好感度大up 何も答えない→好感度中up 特別イベント7『染まり行く想い』 発生期間:第4ステージ 発生時間:休日 発生条件:『嘘ついた』でデートの約束をしている、恋愛段階が4である 休日デートイベント 休日デート1 発生条件:恋愛段階が2である、休日一人練習後に海岸通りへ行く 休日デート2 発生条件:恋愛段階が3である、休日一人練習後に海岸通りへ行く 休日デート3 発生条件:恋愛段階が4である、休日練習後に海岸通りへ行く
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◆ ◆ 悪意が蛆虫のように、ぐちゃぐちゃと蠢いている。 端正な顔立ちを邪悪な笑顔に歪めて、三日月を象った口元から心を壊す声が放たれる。 意思を曲げて、意思を食い散らかして。 悪人から善人へ変わろうとして、しかし少女の懐いた僅かな希望が叶うことはない。 二人の邪悪が、少女を見てにやにやと笑う。 ――そこにあるのはやはり底知れぬ悪意。 誰かの胤から生まれたことが信じられないような外道が、少女の希望を、思い出をごりごりと削る。 最高の親友の名前すら思い出せないまま、今度は完全にその記憶を抹消される。 唯一無二の友人の面影は記憶の彼方に消え失せた。 思い出そうとしてもノイズが走り、記憶の引き出しを見つけることも「悪意」は許してはくれない。 ただ一人、真の意味で親友と呼べた幼い面影。 それが、水面に溶けるように消えていく。 じくじくと蝕んでくる悪意が、"彼女"を少女の中から少しずつ消していく。 崩壊。 そう呼ぶに相応しい暴力が、小さな少女の中で繰り広げられていた。 彼女は、決して最初から悪人になろうとしていた訳ではない。 飲み物を啜りながら、下品な笑い声をあげている二人の邪悪に―――行き逢ってしまった。 それが少女の運命を大きく変えてしまった。 あんなに愉しそうに笑えるなんて、どんなに面白いことなのだろう。 たとえ世界が認めなくとも、そこに居た彼らの味わう娯楽を自分もまた、賞味してみたいと。 思ってしまったことは、彼女にとって失敗だとか以前に必然だったのだ。 そうして、彼らは少女にありったけの邪悪を叩き込んだ。 生命の虐め方から悪人ならどうあるべきか、悪人の極意と呼べるものを教授された。 異常な吸収力でそれを学び取り、彼女はいざ実行に移した。 最初に出会った四字熟語の少年との邂逅が、彼女の転機だった。 ストッパーを崩壊ギリギリまで弄られていた彼女は、知ってしまった。 悪人にとっては手放すべき悪徳、大切なひとの存在を。 たとえ思い出せなくとも、殺したくないと彼女は思った。 悪人の道を貫き通すならば、大切なものを全て切り捨てるより他に道はない。 しかし――その点においては、少女はまだ半人前もいいところだった。 自分を悪事を働くことだけに特化した極悪非道の外道に、染まりきれてはいなかった。 悪徳の才能保持者と邪悪を生きる四字熟語とは違い、彼女はあまりに早熟過ぎたのだから。 並外れた吸収力――白崎ミュートンをして感嘆せざるを得ないまでの、まさに最高の逸材。 自身の興味に忠実になれば、どこまでも堕ちられる異端児。 それを「利点」と取るか「呪い」と取るかは、解釈が分かれることだろう。 悪人に魅せられ、その涜心を学んだ、間違えてしまった少女(アリス)。 彼女を待つのは不思議の国ではなかった。ただの、現実だった。 そして更に始末の悪いことに、彼女は出会ってはいけない存在と出会ってしまう。 それはまさに少女の対極。善人になりたい一匹の狼が、現れた。 狼は彼女に語った。上手な言葉ではなくとも、それは少女にしっかりと影響を与えた。 狼もまた知らなかった。 悪人を目指す少女をここまで堕とした巨悪は、良いことをするなんて甘さを見逃す筈がないと。 果たしてその在り方を貫いていればどうなっていたのか、今となっては知る術もない。 善人になることにどういった楽しさがあったとしても、全てはもう手遅れだった。 少女らしい、幼い心が導き出した善意を向ける相手を致命的に誤り――そして、正義は滅びる。 漸く導かれた善人への道は二人の悪人によって閉ざされ、心を悪意の蛆虫で蹂躙され、一小学生に過ぎない彼女では、どう足掻こうと悪意の侵食に抗うことは不可能だった。 蠢く怪異(ワンダートリック)――人の気持ちや決意を簡単に掻き乱し、その気になれば人間そのものを壊してしまえるだけの"才能"が、彼女をじわじわと食らってゆく。 振り払うことの出来ない呪いを、男は笑顔で放ち続ける。 だから彼女はここで一度死ぬ。「善人になりたい」理想を懐いた彼女は死に、新たに生まれ変わる。 良いことなど何一つ出来ないまま、再び悪人を目指す。 せめてあとほんの少しでも白崎ミュートンという男に善意が残っていたなら、また事態は違ったろう。 稚拙な理想論であろうと、必死になって諦めずに説明して説得すれば、もしかしたなら見逃してもらえる可能性は微少とはいえ存在しただろう。 しかし、白崎ミュートンにはそんなものはなかった。 生まれながらの魔性として生を受け、一切自らの在り方に苦悩すること生きてきた、生粋の極悪人。 深海の闇をどれだけの蝋燭で照らそうとしても――蝋燭の光が届く前に、火が灯らない。 常に誰かを踏みにじり、その情熱を悪行にばかり傾けてきた悪意の権化。 才能を保管する隔離施設に追いやられても一切病むことのなかった純粋の外道。 白崎は、彼女が一生懸命に説いた善人理論を眉ひとつ動かさずに全否定し、あわゆくば論破した。 ただの少女にも容赦なく、悪人らしく弱い者虐めをしてみせた。 彼に言葉は、断片すら届いてはくれなかった。 どうしてこんなことになったのだろうか。 この悪しき暴君に才能を与えた天上の神は一体、どういう了見なのか。 結局少女は、一度死ぬその時まで白崎ミュートンという男を理解することが出来なかった。 ―――そして、悪意は遂に少女の中枢へと辿り着く。 無意味な躊躇は無用だ、お前はとっくに壊れていると、何かの声が響く。 終わってしまえ、そして悪に塗れた愉しい夢を見ようと、何かの声が誘う。 その声に返答することは許されず、ただ従うことしか彼女には許されない。 あれほど大切だった"××××"が一体どんな愛称だったのか、わからない。 自分がどうして善人になりたいなんてつまらないことを言っていたのかまるでわからない。 悪人こそが人間の真髄である。 悪人は顧みない。己の欲求を忠実に満たしていけば良い、娯楽に満ちている。 他人の不幸は蜜の味。 他人の涙は芳醇な甘味を称えた炭酸ジュース。 他人の慟哭は音楽家の奏でる子守唄。 他人の鮮血はこの世で最も美味な液体。 悪人は素晴らしい。 己の最高の友の存在そのものを忘却し、善への興味は全て虫けら同然にまで成り下がった。 悪いことをどんどんしよう。 希望の光をかつて爛々と称えていた少女の瞳は、またも邪悪の色に染まっていた。 にやり、と笑って彼女に悪意を送り続けていた白崎は問う。 「夢を見てたみたいじゃねえか。どうだった、良い夢だったか?」 そうだ、と少女は自分の見ていた「夢」を思い出す。 自分が善人になりたいなんてとち狂ったことを宣って、悪人になるのを止めようとした「夢」。 可愛らしい面貌が、深い溜め息を吐き出す。 心底落胆した様子で、信じられないという風に少女は答えた。 「さいっあくの夢だった。ったく、ねざめが悪いよ」 カカカ、と四字熟語、酒々楽々は笑う。 白崎ミュートンもまた、楽しそうにその口元を歪めてみせた。 その姿を見て少女は思う。 やはり悪人は愉しいんだ、良いことをしようなんて思っていたあたしがばかだった―――。 自身の身に手を加えたのは目の前の男だと露知らずに、彼女は天使のように笑った。 「やっぱし、悪人はさいこーだな」 まったくだ、その通りだ、と二人の悪人が同意する。 芽生えた小さな善意は消えた。 残ったのは―――ひたすらに淀んだ、穢れきった悪意のみだった。 ◆ ◆ 時を同じくして、デパートに入店した一人の人物があった。 顔つきは精悍だが、纏っている雰囲気がまず普通の人間とは乖離している。 だがそんな違和感がどこか彼方に吹き飛んでしまいそうなほど、彼の見た目は異様だったろう。 正確にはその手が握っている、まともな人間なら絶対に無視できない明らかな異物だ。 それは、誰かの腕だった。 一人の狂乱した青年の屍から切り取った腕――それに宿る力は、あまりにも危険過ぎるもの。 人間の意思を反転させる原理不明のルール能力を、本人が死んだ今もそれは宿し続けている。 一言で呼び表すなら「心機一転」。 胸元に腕が触れた相手を強制的に「心機一転」させ、まったく正反対の人間性を植え付ける。 このバトルロワイアルでも既にいくつかの波乱を引き起こしている、狂乱の引き金となった力だ。 今こうしてこの腕を持ち歩いている彼もまた――その力によって、反転している。 「でけえ建物だな……ま、こんだけでかけりゃ、誰かしら居るだろうよ」 アブノーマル過ぎる光景だったが、この男、大崎年光は殺し合いに乗っている。 心機一転のルール能力によってスタンスを反転させられ、今はこうして獲物を探して徘徊中だ。 これまでに殺したのは自らを反転させた張本人、心機一転。 えげつない殺し方だったと、彼はしっかり自覚している。 だが反省しているかといえば、断じて否。 ここがバトルロワイアルである以上殺し合いに乗ることは正義だと、反転した大崎は思っていた。 死人の腕をもいで利用するなんて鬼畜の所業にも、抵抗は大してなかった。 だってこうするのが、この場では正しいのだから。 正しいことをするのは、褒められるべきでこそあれど貶される道理はない。 故にこれは悪いことじゃない。 反転したことで立派な殺人鬼の思考回路となった大崎は、デパートに入ると周囲をぐるぐる見回す。 他の参加者を捜すという当然の理由もあるが、その他に良さげな物は回収しておこうと思ったからだ。 大崎は銃を支給されていて、他の参加者にアドバンテージを持てている。 が、俗に言う日常品でも使えそうなものはあるだろう。 そういった物を収集する目的もあって、大崎はこのデパートを訪れた。 「おっと、腕はとりあえずしまっとくか」 もしもいきなり参加者とばったり、なんてことになった時のために持っていた腕をしまう。 代わりに取り出したのは銃。 獲物になりそうな奴を見つけたら射殺していくか、厄介そうな相手なら「心機一転」の腕を使う。 人畜無害になった殺人者の無防備な隙を突いて、銃弾を叩き込むという寸法だ。 実験は済んでいる――死体のものであっても、効果があることはとある警察官で実践していた。 つくづく便利なものを手に入れたもんだな、と大崎は野獣のような笑顔を浮かべる。 銃を構えたまま、しかし周囲には用心しながら彼はエレベーターに乗り込んだ。 こうして、デパートにまた一人悪人が増えた。 ◆ ◆ バトルロワイアル開始から数時間が経つが、俺はどうやら相当のツキに恵まれているようだ。 俺こと白崎ミュートンの才能がいくら強力であるとはいえ、所詮言葉でしかない。 手で耳を塞ぐくらいなら貫通できても、さすがに耳栓なんかをつけられたら無力ってもんだからな。 そんな俺が、酒々楽々とコンビを組むことが出来たのは実に幸運だ。 こいつの説明によれば《酒の霧》の他にも落下を操る能力だったか、そんなものがあるらしい。 単純なようにも見えるがアルコールの霧ってのがどれほどのものかは既にこの目で見ている。 我が悪人同盟の戦闘担当はこいつになるだろうなァ。 こいつが行動できなくした奴を俺が「蠢く怪異」で壊す。 トラウマのある奴なら掘り返す。 強さを誇りに思う奴ならその認識を徹底的にへし折る。 善人ならさっきあいつにやったように、己の行動の無意味さを教え込む。 悪人でも俺達に牙を剥くようなら――まあ、どうしようかね。 俺が認めるような悪人だったら殺されても本望だよ。 俺は無様に長生きするより、華々しく散れた方がよっぽど美しいと思うからね。 そして俺が幸運だという話に戻るが、もうひとつ理由がある。 それがこのガキ、愛崎一美だ。 これの利点は異常ともいえるその性質だが、まあ欠点はさっきの一件で明らかになった。 どうもこいつは周りに影響されやす過ぎるきらいがあるらしい……予想外だ。 随分飲み込みの早いガキだとは思ったけどな……そういう訳ありだったとは。やっぱりこの世の中、そんなに上手い話は転がってないってことか。勉強になったぜ。 この歳になってもこうして学ばされることがあるから人生ってのは面白い。 ネットのコピペでも人生は神ゲーだとか見たことがあるが、的を射ていると俺は思うよ。 なかなかどうして飽きない。 この人生っていう巨大なオンラインゲームを作ってる神様も、随分と趣味の悪いお人だ。 俺達がこうしている間にも世界中どこかで、名前も知らないプレイヤーがゲームオーバーになる。 酷い終わりを迎えるプレイヤーもかなり居るだろうよ。 極めつけにこんなバトルロワイアルなんてもんを作るたぁ、流石の俺も呆れ果てる。 いや、感嘆するの間違いかね。 でも調子に乗ってくれたお礼はするつもりだから、このゲームは潰させて貰うけどな。 「しかしよ、白崎」 ひそひそと、酒々楽々が俺に話しかけてくる。 酒臭いのであまり密着して喋りたいとは思えないが、声を潜めるってことはあいつ関係か。 愛崎一美。俺達が期待を寄せるいわば実験体のような存在。 面倒なことも明らかになったことだし、酒々楽々が案じるのも頷ける話だ。 正直な話、俺もこいつの可能性には末恐ろしいものを感じている。 もしも一美が俺達くらいの歳だったら、歴史に残る悪人になっていても何もおかしくないだろう。 それだけの逸材なだけあって、取り扱いには細心の注意が必要となる。 「あれ、やっぱりやべえぞ。ガキだからまだいいが、そうじゃなかったら優勝候補だろ」 「間違いないな。……まあ、俺も正直これほどとは思ってなかったよ」 何処の誰だか知らないが、一美の性質について間接的とはいえ教えてくれた奴には感謝する。 これに気付かないままだったら俺達は寝首を掻かれてたかもしれない。 無邪気だからこそ、何をするか予期することが非常に難しいんだよ。 しっかし、何をどうやったらこういうのが生まれてくるんだか。 おっと、至って普通のご家庭に生まれてこうなったこの俺が言えたことでもねえな。 「とりあえず油断してられないから、"ひとみん"だかについては忘れさせた。完全にな」 「御苦労さんだぜ。ったく、手間かけさせるガキだよなァ」 「全くだ……こいつを一人で歩かせた俺達のミスだな。教訓にしておこう」 うむ。時には間違いを認めることも大事だな。 後ろを振り返って学ぶことは善人悪人以前に全ての基本だ。 こういうこと言ってると自分がまともみたいに見えてくるぜ。そんなつまらん人生御免だが。 何はともあれ、一美を好き勝手させることは暫く控えよう。 俺と酒々楽々の親睦を深めるのはいいとして、それで爆弾に火が点く羽目になったら大変だ。 こいつをより上手く育てるためにも、悪人トークからハブるのもそろそろ止めてやるか。 人の技は盗むものだ、ってスポーツ漫画とかだとよく熱血コーチが言ってるだろ?あれだ。 折角だからとことん悪人の極意を教え込んで―――俺達を殺すなら、完璧な悪人がいい。 後、これはひとつの対策でもある。 俺の蠢く怪異は人間の意志を砕くことは容易いし、再起不能まで追い込むことも朝飯前だが、それでも生まれながらの性格を完璧に改竄するとなれば少しばかり無理があるからな。 それが一美クラスの異端ともなれば、俺の才能でどうにか出来る領域を過ぎてしまっている。 だからせめて、無駄な努力かもしれないが「悪いこと」が「他のことが霞むほど面白い」んだということを植え付けて万が一の危険性を抑圧する。 (ま、どうとでもなるでしょ。その辺は) 何度愛崎一美が違うものに変わったところで所詮は小学生。 手荒な真似に出れば別に運動神経がいいわけでもない俺にだって押さえ込める筈だ。 最悪酒々楽々の力を借りればまさか遅れを取るようなことは……ないと思う。多分な。 何で一瞬言い淀んだかって? えーと、俺をぶっ殺してくれた柳詩織ちゃんのことを思い出して、ちょっと遅れ取るかもと思った。 そういやあの子は今どうしてるんだろうねぇ……パワーアップとかしてないだろうな、あれ以上になられたらチート過ぎて俺裸足で逃げ出すよマジで。 面白い奴に殺されるならそれは凄く良いことだと思えるが、いくら何でも同じ奴に二回殺されるのはちと戴けないだろう。多分三度目の復活は無いだろうし。 そういう意味では俺は結くん達に感謝しないといけないのかね? おっと読者の皆さん忘れないでくれよ? 俺達悪人同盟はれっきとした対主催団体だぜ。 善人を殺して悪人だけでやろうっていうちょっと極端なだけの普通の善良――「悪」良なトリオだ。 その証拠にひとりの子供に道を示しているじゃないか。 人無許すまじと反逆の旗を掲げた戦士たち。くぅー、我ながら惚れ惚れする響きだな。 「さて、じゃあもっかいフードコートに戻って作戦会議といこうか」 俺のあまりに脈絡のない発言に、二人とも奇妙なものを見るような視線を送ってくる。 俺が作戦会議を開くのがそんなにおかしいのかお前ら。 俺だって昔は進んで体育祭の作戦を立ててたんだぞ? えーと、野球で相手のピッチャーを闇討ちして勝つって作戦を大真面目に提案した。 あの時のクラスの空気は忘れられないね。気温が五度くらいは下がったんじゃないか? 「勿論主催をぶっ潰すための、未来を決めるための作戦会議だ」 珍しく形だけ爽やか(自称)な笑顔で言った。 バトルロワイアルは既に随分進行している頃合いだろう。 時計を見る限りでは放送まではまだ時間があるが、それなりの人数は脱落していると見える。 俺達には関係のない話だ―――しかし、悪人が蔓延るには御誂え向きの状況がやってくる。 俺は放送のルールを聞いたとき、心が歓喜と期待に満ち満ちた思いだった。 なんて非道いことを考えやがるんだと、全身が歓喜に震えた。 悪人らしく、高笑いをしてやりたくもなった。 最初の放送が終わったあたりが、良くも悪くも人々の感情の波が最も高まる時間帯だ。 そこを弄べば、悪人に変貌させてやれる最高の好機となり得る。 賢明な読者諸君、もうお解り戴けたかな? ―――俺達の作戦会議は、放送後の『一大イベント』の為のものなのだよ。 カルト教団作戦、とでも呼んでおこうか。 誰かの涙は我が悦び。 誰かの嘆きは我が至福。 裏切られし者よ、貶められし者よ、さあ集うがいい。 俺が司り、俺が導き、俺が貶め、俺が堕落させ、そして最悪の地獄をこの地上に布こう。 諦めることは無い。 悪人であれば、願いも夢も何も抱かず――――。ただ、嗤えばいいのだ。 ◆ ◆ 数分後、白崎一行は始まりの場所に帰ってきていた。 飲んだ後のコップは放置されていて、マナーもへったくれもない。 勿論悪人である彼らがそんなことを憚る訳もなく、無銭飲食にも躊躇いを懐かず、カウンターの奥で適当な飲み物や軽食を見繕う。 白崎はコーヒーで、酒々楽々は相変わらず酒以外を飲む気にはならないらしい。 確かにこの男が優雅に紅茶を嗜んでいたりしたら、白崎と一美は腹を抱えて大爆笑できる自信があった。 ちなみに一美はオレンジジュースである。 子供にコーヒーは似合わん、という白崎のよく分からない拘りで選ばされたものだ。 さっきの座席に再び着くと、まずは各々各自のドリンクを一度啜った。 三人とも違う味わいが口腔を満たし、それが作戦会議開始の合図となった。 「俺達悪人同盟の本領を発揮するのはとりあえず第一回の放送以降だ」 ずずず、とコーヒーを啜った後に白崎はそう言った。 じゅるる、とアルコールを吸いながら、酒々楽々は何故だ、と疑問の問いかけを送る。 一美は話の内容についていくために橙色の液体を流し込みつつ、しっかりと白崎の言葉に耳を傾ける。 悪人同盟の実質的なリーダーである白崎ミュートンの作戦は、どれほど狡いものか、想像も出来なかった。 白崎は待ってました、と言わんばかりに参加者名簿を取り出し、テーブルの上に広げた。 「まあお前等、まずはこれを見ろよ」 そこに記載されている名前の数々。 酒々楽々と白崎ミュートンには見知る名前もあったわけだが、愛崎一美にはそんな存在は『もう』いなかった。 白崎が指差す名前はいくつかあり、中には先程邂逅した「古川正人」の名前もあった。 その他に共通点としては、「青木林」と「青木百合」のように、同じ苗字を持っていることだ。 「……これがどーしたんだ?」 一美が疑問の声をあげる。 どうやら酒々楽々は察したようだが、まだ悪人としては完成していない彼女には直ぐには理解できないものだったろう。 同じ苗字ということが何を意味しているか考えてみろ、と白崎は底意地の悪い笑顔で言った。 同じ苗字。 ――――家族? 古川正人は確か恋人を捜していた、つまり「家族」と「恋人」。 かちり、と歯車が噛み合うような爽快感を感じた一美は、晴れ渡らんばかりの笑顔で白崎の顔を見やる。 家族と恋人、その共通点は―――大切! 訳の分からぬままに呼びつけられた殺人ゲームの会場で、それぞれ大切な人を殺したくないと思っていることだろう。 もしかするとその為だけに殺し合いに乗っているやつも居るかもしれない。 だけど、そんな大切な人が死んで動揺しない「善人」なんて存在するだろうか。 「わかったぞ! 放送が終わった後でぱにっくな奴らを叩くんだな!?」 周囲へ微塵の警戒もせずに、謎が解けた喜びに任せて一美は叫ぶように答える。 しかしそれは残念ながら白崎の求める回答ではない。 平たく言えば不正解だ。 「あのなァ。善人がせっかく壊れかけてるのに、どうしてそんな面白そうな玩具を壊す必要があるんだ?」 「良いやつの壊れる瞬間なんて、最高じゃねえか」 二人の悪人は口を揃えて一美の答えを惜しい惜しいと笑う。 「うー……分かんないぞ」 唇を尖らせて、眉間に皺を寄せて一美はテーブルにべったりと凭れ掛かった。 「そうか、出来ればお前が正解を出すことを期待してたんだが―――まあ、仕方ないか」 「いったいどういうことなんだ、白崎っ」 ブラックコーヒーの苦みが再び白崎の口腔を満たす。 早くも温くなりつつある漆黒の液体の良質な風味を愉しんだ後、彼は名簿を指した。 例えば、と指差したのは一番わかりやすい例で、古川正人の名前だ。 「こいつの大切なものが壊れたら、こいつはどうなると思う?」 嫌らしい笑みを浮かべて、ありありと愉悦の色を浮かべた表情で一美に白崎は問うた。 一美は想像する。 アルコールの酔いの中で、放送で最愛の恋人の名前を聞き、その死を知る。 どう見ても善人にしか見えない彼だったが、自分は誰一人守れず、恋人ひとりすら守れなかったと嘆くだろう。 同行者のナントカって奴(一美はうろ覚えだった)が慰めようとする光景も目に浮かぶ。 しかしそんなちっぽけな慰めでは、大切なものを永久に喪った彼の心にはちっぽけな癒しにすらならない。 精神が崩壊するか、殺人者として覚悟を決めるかのどちらか。 仮に自分の正義を見失わなかったとしても、その心には決定的な綻びが生まれることはまず間違いない筈だ。 ならば、答えはやはりひとつしかない。 「そいつも、こわれると思う」 「ああ、そうだな。間違いなく心のどこかでどれほどちっぽけだとしても何かが壊れるだろう」 「こわれたら、どうなる?」 「……そりゃあお前、考えなくても分かるだろ?」 イメージしてみろ、と白崎は諭すように言う。 例えばゲーム機なら、一個のボタンが取れてもすぐには使えなくならない。 頑張れば長く使うことは出来る筈だ。 「一個の部品だとしても、壊れた部分は本体に何かしらの影響を与えるだろ?」 「確かにそーだな……ボタンが一個なくなったら、ゲームもやりづらいだろうしな」 「おれも仕事の時にパソコンのシフトキーがすっぽ抜けてなァ……めっちゃ苛々したぜ」 どんなに小さな破損でも、それは全体が崩壊する導火線になり得る。 ちょっとしたきっかけで連鎖して、更に大きな破損を生んでくれる。 じわじわと、本人すら気付かないままに致命的な崩壊に到り、最後には直せなくなる。 「じゃあ次は、これを人間に直して考えてみろ」 また、想像する。 善人として生きていた人間の心の何処かが壊れる。 全てを守ろうと思っていたのに、いつしか守るものと殺すものを分けるようになる。 それが更に進行すると、大切なもの以外は殺してもいいという思考になる。 こんなものは間違っている――そんなことを宣えるのは、壊れていない者だけだ。 崩壊の進行した善人は己に起こる異常に気付けない。 己を正しいと誤信したまま、立派な悪行を正当化して行うようになっていく。 まずは殺人を正義だと思い始め、最後まで間違いだと分かれない。 ――己の異常に気付けるのは、帰り道がなくなった時、最終段階まで崩壊してしまった時だ。 とはいえそうなってしまえば、もうどうしようもないだろう。 「すげーことになるな」 如何に未熟とはいえ、一美も薄々白崎の言いたいことが分かってきた。 壊れた玩具ほど面白いものはない――悪人らしく見たなら、その通りじゃないか。 一美は自分の心が躍っていることに気付く。 それを見て白崎と酒々楽々は、漸く気付いたか、と呆れ果てるような苦笑を見せた。 「――そういう訳だ。善人が壊れれば悪人になる」 まるで反転するように、悪人に変わる。 白崎ミュートンの作戦とは即ち、悪人同盟の拡大であった。 三人だけで主催を打倒することが叶うか? ――――否。 才能とルール能力が如何に強力といえど、人無を王座から引き摺り下ろすのはいくら何でも無茶だ。 何より数が足りない。 たった三人では役割の分担もままならないし、首輪解除の手掛かりも未だ皆無である。 「――――だからこそ、悪人同盟は哀れな子羊共を掌握することにする」 哀れな子羊共――即ち、積み重なる屍に嘆く壊れたドール。 倫理が崩れた者。 殺人行為に忌避感を懐けなくなった者。 そして自らの在り方に苦悩する者。 そいつらを引き入れるんだ――と、白崎ミュートンはこのバトルロワイアル開幕以来最高の上機嫌で宣言した。愛崎一美が知っているかは分からないが、彼の造ろうとしている団体はもはや悪人「同盟」などではない。 ――悪のカルト教団。 現実から逃避する者達を糧として勢力を増してゆく危険極まりないひとつの軍隊だ。 とびっきりの悪意を全身から放つ白崎ミュートンの姿は圧倒的なまでの存在感として君臨している。 フードコートの一角は、もはや常人なら立ち入る気も起きないような悪意の坩堝と化していた。 「ぷっは! お前はつくづく面白い奴だぜ、おれ達で宗教を作るってか! こいつぁいいな!!」 愉快な様子を隠そうともせず、酒々楽々はもはや爆笑に近い笑い声をあげる。 そこに侮蔑の色は無かったが、代わりに白崎に負けず劣らずの悪意が凝縮されていた。 一聴すると馬鹿馬鹿しいことこの上ない妄言だが、それを可能にしてしまうのが白崎と酒々楽々の力である。 酒は敵意を堕落させ、言葉は心を無慈悲に食い散らかす。 そして善は在り方を変え、悪になる。 それは自然に「同盟」の拡大を促し、悪の軍隊は勢力を増していく。 壊れずに善を保つなら用はない。 力無き者、壊れてしまった者を更に終わらせ、そうやって力をつけていけばいい。 邪魔をするなら――殺せ。 白崎ミュートンは悪人と精神虚弱者の味方だ。 そういうものこそ面白い、だからこそ壊し甲斐があり、弄り甲斐もあるというものだ。 内乱が起きようと白崎は一向に構わない。 自分の作ったものによって命を落とせるなら、それも僥倖ではないか。 人無結は、力を保有している。 超能力――白崎でいう才能のようなものを持っている。 その力を自分たちの為に使わねばならない状況を作ってやればいい。 使用限度があるなんてことは言っていなかったのだ、自分たちの好きなだけ願いを叶えさせてやる。 奇跡を汚して、何が目的かは知らないが壊してやる。 彼奴の大切なものを壊して、あざ笑って踏み躙る。 最後に笑うのは、悪だ。 「入団条件はまずひとつ、「壊れた要素を含んでいる者」、そして「心を病み、恐怖もしくは復讐に狂った者」だ。 危険だとかは考えるな。俺達には武器がある。……まぁ、どうしても無理そうなら諦めるけれども」 言葉と酒、後は漲らんばかりの悪意がある。 悪人同盟の三つの武器は、だからこそこの場において最強無敵だ。 その力をあえて主催打倒に使う、一見無益なようだがこれでこそ真の悪。 自分達を貶めた首謀者を屈辱の果てに殺し、邪悪の海で嗤ってこそ、悪党というものだ。 迷うことは無い。 信じる者は救われる、そんなことはないが、より愉しい人生ならくれてやれる。 ――理想は捨てろ。現実を持て。そうやって善を駆逐する。 マインドコントロールと言われても反論は出来ないし、むしろその通りだと思う。 だがそれがどうした。 信じている間救われているなら、それでいいだろう? 破損した箇所を埋め合わせるように悪のパーツを填めることで、見事救って見せようではないか。 たとえば――この、愛崎一美のように、悪の道を志すことで救いの道を示そう。 「良いじゃねえか。乗ったぜ、白崎」 「やはりお前は話が分かるな、酒々楽々。お堅い信仰だとかは言わないから、気楽にやるとしよう」 「ああ」 二人の視線はやがて、傍らの小さな少女に向かう。 何を言っているのか分かっているのか、白崎にも酒々楽々にも分からない。 ただ確実なことはひとつ。 「なんだかよく分かんないけど、すげー愉しそーだな!」 ――愛崎一美が、悪人らしいことに反対する筈がないということだ。 芽生えかけた善意は摘み取られ、今の彼女は悪を目指す悪人の卵でしかない。 悪への欲求は、人一倍高い筈だ。 「――ああ。きっと愉しいぜ」 白崎の言葉に、一美はニッ、と子供らしく笑う。 一見すると微笑ましい光景。 親子か年の離れた兄妹にも見える。 だからこそ、溢れる邪悪さがひどく異様だった。 無邪気な笑顔なのに、邪気はしっかりと放たれている――矛盾。 作戦会議によってこれからの指針は決まった……訳ではない。 決まったのは第一回目の放送終了後の予定のみで、あくまで数時間後からの話だ。 それまでの時間をどう過ごすかは決まっていない。 それにいち早く気付いたのは、意外にも愛崎一美だった。 「なぁ、じゃあ「これから」はどーするんだ?」 ん、と白崎が声を漏らす。 これまで出会った人物の数はそう多くはない。 最初に出会った二人の善人と、一美が出会ったというこれまた二人の善人。 狼とか言っていたが、それに関してはこの目で見て確認するまでは断定を急がないことにした。 面倒な相手であることは間違いない。 野生動物の身体能力ともなれば、簡単にどうこう出来るものではないだろう。 聴力があるなら白崎の言葉は通じるだろうが、≪酒の霧≫はどうだかわからない。 どういった存在なのかが分かってから策を講じる。 少なくとも、白崎の作戦を脅かすようなことはないと思われた。 で、結局後の数時間はどうやって過ごそうか。 はっきり言うと、実は全く考えていなかった。 「……今まで通りぶらぶらしていればいいんじゃね?」 「何だァおいおい、いつになく適当じゃねえか」 「いやー、教団作りがあまりにも楽しそうでそれまでの事とかぶっちゃけ考えてなかった」 足元をくりぬかれた気分だ、とよく分からないことをぶつぶつと呟く白崎。 この様子を見るに本当に何も考えていなかったようだと、一美と酒々楽々は同時に思った。 だが確かに、目立ってやることが存在しないのも事実。 予定の刻限より前に悪評をばら撒き過ぎてもあれだし、目立つのは得策ではない。 なら、こうやって適当に過ごしているより他にないのかもしれない。 「……暇だな。怖い話でもするか?」 「こいつがそっちにハマってホラー少女になったらどうする。もうどうしようもねえぞそれ」 「いつの間にか後ろに立ってるんだな」 「な、なんだか怖いぞっ!?」 張りつめていた邪悪が少しだけ薄れた。 この三人、同じ道を志しているだけあり、意外と馬は合う。 こんな風に雑談していても、それなりに話は弾むようだった。 ついさっきまで悪人のみの教団を作ろうと話していたとは思えない、和やかな空気。 一美も順調に彼らの側へ踏み入りつつある。 その証拠に、今の彼女はすんなりと二人の会話に交れている。 悪人たちの時に常軌を逸した会話に交ざれるのは、同じ悪の心を持つ者でなければならない。 しかし、白崎達から言わせればまだまだ一美は未熟だ。 身体だけではなく、悪意の塊と呼べるモノになるにはまだ時間がかかりそうだ。 とはいえ彼女の成長速度は目を見張るものがある、少なくともあと十時間もあれば完成するだろう。 尤も、あまりに濃すぎる悪の密度だからこそそれだけの時間を要するのだが。 狂気は彼女に悟られないままに、直に一美を満たす。 その頃には、悪人の悪人による悪人の為の教団も出来ている。 バトルロワイアルにもっと巨大な悪が現れることは、最早必然の確定事項だった。 善意を取り込んで成長する軍隊。 形は対主催団体だが、その本質はある意味殺人者よりも数段性質が悪い。 危険すぎる冒涜の教義を掲げる、冒涜こそ美徳とするカルト教団。 遠くない未来その主軸メンバーとなるだろう三人が、こうやって談笑している。 ―――それは、何ともアブノーマルな光景だった。 時系列順で読む Back Alice Magic/明日は天気になれ Next Alice Magic/サイコロジカル 投下順で読む Back Alice Magic/明日は天気になれ Next Alice Magic/サイコロジカル 062 Alice Magic/明日は天気になれ 大崎年光 062 Alice Magic/サイコロジカル 062 Alice Magic/明日は天気になれ 古川正人 062 Alice Magic/サイコロジカル 062 Alice Magic/明日は天気になれ カインツ・アルフォード 062 Alice Magic/サイコロジカル 062 Alice Magic/明日は天気になれ 白崎ミュートン 062 Alice Magic/サイコロジカル 062 Alice Magic/明日は天気になれ 酒々楽々 062 Alice Magic/サイコロジカル 062 Alice Magic/明日は天気になれ 愛崎一美 062 Alice Magic/サイコロジカル 062 Alice Magic/明日は天気になれ 香坂幹葦 062 Alice Magic/サイコロジカル 062 Alice Magic/明日は天気になれ 紆余曲折 062 Alice Magic/サイコロジカル
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曲名 アーティスト フォルダ 難易度 BPM NOTES/FREEZE(SHOCK) Sweet Sweet ♥ Magic jun MAX2 激13 180 378/21 譜面 http //www.ddr.sh/steps/basic/s/sweet/4m_sweet_a_p.html 動画 http //www.youtube.com/watch?v=voDiiRf2XTo (x2.0,NOTE) 解説 BPM推移:180-(停止)-180 曲名のハートマークは「Love」と読むので、正式な曲名は「Sweet Sweet Love Magic」。 総合譜面寄りだが、捻り要素はほぼ皆無で長い8分滝も無い。ところどころ出て来るBPM180のスキップが忙しい。 中盤に1回停止有り。慣れないと危険。 ラストの8分同時3連でコンボを切らないように。 名前 コメント コメント(感想など) junドS伝説の始まり -- 名無しさん (2010-08-15 08 27 06) 動画の1 03部分が最大の難所、FCへの関門部分。 -- 名無しさん (2010-10-01 21 26 03) 譜面密度は高い方だが長い8分滝は無いので人によって難易に差が出やすい曲。 -- 名無しさん (2010-10-29 13 49 57) タタッタタッタンは交互だからまだしも、タタッタタンは慣れないと厳しいわ… -- 名無しさん (2011-07-22 12 46 56) タタッタタッタンが来る直前のドキドキ感・・・DynamiteRave激と同じだ・・・。 -- 名無しさん (2011-11-03 23 45 19) 恐らくACDDR初のNAOKI以外の人が作曲した曲。(革命も入るかな) -- 名無しさん (2011-11-04 07 33 34) 14でも大抵AA出るのにこれは930kで止まる…… -- 名無しさん (2012-09-13 23 25 04) しかしjunの初登場の曲が旧足9とはさすがですなあ -- 名無しさん (2012-09-14 10 08 20) 判定ズレがする気がする……まあ気にするほどのことじゃないかもしれないけど -- 名無しさん (2012-09-14 16 28 51) 名前 コメント
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Magic The Gathering(MWS/Cockatrice) 1ゲーム所要時間:ツールに慣れれば10分 TCGの元祖だけあって細かいルールは複雑ですがおおまかなルールは他のカードゲームをやったことのある方ならすぐに飲み込めると思います。 現在はCockatrice(コカトリス)というツールでプレイしています。 が、これだとデッキ編成に難ありなのでデッキ編成はMagicWorkStaition略してMWSというツールを使うのが主流になってます。 コカトリス導入用の手引きページ MWS導入の手引きページ 導入は少し面倒なのでわかる人がいる時に聞きながらが無難かもしれません。 マジックのルールおよびこのカードなんだっけになどに関しては各種wikiを参照した方が良いかと思いますのでこちらをどうぞ M TGWiki こちらのサイトでドラフトもできます(要登録)。 Eternal Dream
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異世界マルシェにそびえるお城、魔法と知識の城郭 バーチャルマーケット2の会場「異世界マルシェ」。今日は、年に一度の城内開放の日。Castello Magicaは、知識と魔法の集積地。 玉座につながる巨大なホール(Hall)、魔法書の詰まった巨大な書棚が立ち並ぶ図書室(Library)、実験道具が満載の魔法研究室(Laboratory)。 ①「Hall」荘厳、伝統、城内、王座 ②「Library」図書館、知識、魔法書、静かな時間 ③「Laboratory」研究室、魔法、ホムンクルス、実験 Castello Magica Majestic castle overlooking Otherworld Marche, a vault for all things arcane In the town of Otherworld Marche, the royal castle opens its gates once a year for the public to explore and experience the arcane mysteries held within its walls. The Royal [Hall] where the throne resides, the [Library] with towering bookshelves housing thousands of ancient grimoires and the [Laboratory] where all sorts of arcane research and experiments are carried out. Forgotten magick of old lies dormant everywhere within these halls. ①「Hall」Regal, Traditional, Castle Interior, Throne ②「Library」Knowledge, Grimoires, Silence ③「Laboratory」Research, Magic, Homunculus, Experiments imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。
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